第1話

1/22
前へ
/162ページ
次へ

第1話

最後にシャツにリボンをつけて、あたしは鏡に映ったブレザー姿の自分を見る。 中学生の頃からあまり変わらない童顔にため息をつく。 しかも名前が『ソラ』。この顔にこの名前。 完全にアニメの世界じゃん。 いくら空が好きだからって、娘の名前にしてしまう両親が憎い。 そんなあたしの心情をからかうように能天気なママの声がリビングから届く。 「ソーラーちゃ~ん?もう八時になるよぉ?平気ぃ?ソーラーちゃ~ん?」 人の気も知らないで、ソーラーちゃ~ん、じゃないよ、ほんと。あたしは太陽光発電じゃないっつーの。 簡単に髪の毛を整えてリビングに向かう。 全然平気だよ、と素っ気なく応えて、テーブルの上に置いてあるトーストを手にとってかじった。
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加