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「失礼します。どうかしましたか?」
ぐるんと此方を向いた4つの顔。
ぴたりと揃ったそのタイミングに、マスクの下でふと笑みがこぼれた。
「応w ちょっとなww」
応えた頭の目線を追って自らも机上に目をやると、式札と紙が一枚ずつ。
それに加え、何か甘い匂いがする。
「で、俺の式札が……」
言いかけた時、紙のほんの一部が半透明になっているのが目に留まった。
なるほど、道理でこの匂い。
「残念ですが式札で紙についたお菓子の油はシミ抜き出来ませんよ」
「やっぱり無理かww」
「だと思った」
「ですよネー」
「出来ないんですか!?不便ですね!」
……ごめんなさい。
「コレ、そんなに大切な書類だったんですか?」
「否、別にw」
……そうですか。
「紙についてしまった油のシミ、レモンの皮でこするとマシになりますよ」
「まじかwww」
「……もちろん冗談です」
自分が言ったジョークのセンスの無さに恐怖すら覚えた俺は、直後に全力で部屋を後にした。
自室に戻ってから本来の目的を思い出したけれど、恥ずかしすぎて数日間は頭と従者の3人には会えない気がする。
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「行っちゃったネ」
「ベンジンだったらシミ抜き出来るんだけどな」
「お菓子残ってないですか?」
「彼奴何しに来たんだよwww」
タラゼド城は今日も平和です←
終
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