さくらの記憶

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―さわさわ… 風が葉を踊らせる音にまぎれ遠くから小さな、機械的な音がする ―キーンコーンカーンコーン… ここから一番近い所にある学校からだろう 夏になったばかりの少し暑い教室、 そこの開いた窓から涼しい風が出入りする 「えー この事からこの古文の訳は……―」 古典の教師が黒板にお世辞にも綺麗とは言えない字で文字をつづる 俺は先生に気づかれないように外を見る 窓からは雲が1つもない青空だけが見えた キーンコーンカーンコーン 何処かの近くの学校より少し遅めにチャイムが鳴る 「はい、じゃあ今日の授業はここまで」 先生の言葉のあとクラス委員の号令に合わせ形だけの礼をする 礼が終わったとたん直ぐにクラスの空気が授業の空気から昼休みの空気に変化する そんな楽しげな空気の中を俺は横切り外にでる そして 学校の敷地の中にある小さな森に入っていく
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