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プロキオンに接近した俺は呟く。
「"クレイモア"」
すると、俺の音声を読み取った機体が光の粒子をシリウスの右腕部分に集める。
そして、ヒジから先を長大な剣へと変貌させた。
敵機体もコチラへ武器である曲刀を振りかぶるが、
「遅い」
自分の口から漏れる無感情な声と共に、"クレイモア"が敵機体のメイン・コアを貫く。
次いで、メイン・コアが光を失い、黒い機体が崩れ落ちる。
パイロットの絶命は確実だ。
大剣を敵機体から引き抜き、次の機体へ目を向ける。
ついでにレーダーを見ると、残りの敵機体もシリウスに気付いたのか、こちらへ向かって来ていた。
しかし、まだ距離はある。
「"マシンガン"、召喚」
俺がボイスコードを呟くと、右手の剣が分解され、機関銃へ変換される。
それを視界に入った敵機体へ向け、引き金を引く。
放たれるのは、無数の光弾。
光弾は荒野を抉り、砂煙を立ち上らせる。
残念ながら、光弾をぶつけたくらいでは硬質な装甲は破れない。
だが、砂煙で視界を塞げば反応を数瞬遅らせる事くらいは出来る。
プロキオンmark-Ⅲには、赤外線センサーは搭載されていない。
俺は右手の"銃"を"剣"に再変換し、プロキオンに高速接近。
胸のメイン・コアを貫く。
メイン・コアが光を失い、ガクン、とプロキオンが膝から崩れ落ちた。
メインコアはコックピット兼全身を制御するメインコンピューターだ。
人間で言うなら、脳味噌と心臓が同じ場所にある事と同義。
だからこそ、その外殻は硬く、力を乗せた同質以上の素材による武器の物理攻撃でないと破壊できない。
先程の機体と同じように、大剣をその胸から引き抜く。
そして、振り向いた先に居たのは、レーダーで確認した内、最後の敵機体。
コイツも量産型だった。
眼前の敵を視界に入れつつ、レーダーに目をやると、十数体の敵影がこちらに近づいて来ていた。
「『鯨』、応答しろ」
『なんでしょうか、アキナガ少尉』
「敵がこちらに集まって来ている。他の味方はどうした」
少々、言いにくそうにオペレーターは返答する。
『……量産型アルタイル、全て撃破されました』
チッ、と舌打ちが漏れた。
どうやら、味方はほとんど死んだらしい。
「シリウスmarkⅢとヴェガはどうした」
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