第10話

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 こうやって何度も会っていると、壮真とは仲の良い友達になれそうな気がする。友達と呼ぶには、絢人が過去の友人達に抱いてきた感情と少し違っている気がするけれども。  二人は最初にセックスをしたけれど、その後は体の関係なしに、何度も一緒に遊んでいる。楽しい時間を過ごしている。まず友情が存在し、それに肉体関係が伴う。そんな友人がいれば、生きていくのに不足はないのかもしれない(人間はしょせん一人で生きていくのだから)、と絢人は最近考えるようになった。  でも壮真がそこまで望まないなら、肉体関係など持たなくてもいい。自分はただの友達用の男でも良い。壮真と一緒にいると楽しくて、この時間がずっと続けばいいと思ってしまうから。  でも、と絢人はさらに考えてしまう。友達の中で一番にして欲しい、と願うことはいけないことだろうか。壮真には正月に家に泊まりにくるような仲の良い友人がいる。自分にはそんな友人はいない。自分は壮真を友人として一番に大切に思っているけれど、壮真は絢人のことをそうとは思っていないかもしれない。  ああ、もし二人が恋人同士ならば、相手が自分用の男あるいは女だということを、互いに一番の存在であることを、簡単に確かめることが出来るのに。
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