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何故ならこいつ、部活に所属していないくせに、妙に馬鹿力なのだ。
しかも、どんなスポーツも人並み以上に良く出来る為、二年生になった今でも、入部のお誘いが絶えない。
特にボールを使う部活からのお誘いが激しいらしい。
それもそのはず。
実はあいつの握力はーー
百キロを、ゆうに超えている、という噂だ。
あくまで噂話なので、事実の程は定かではないが。
少なくとも今俺は、その噂の馬鹿力をこの身体でひしひしと感じている。
確か噂では、握力が凄いとの事だったにもかかわらず、こいつの腕は俺のろっ骨と二の腕の骨を今にも砕かんとするばかりに抱きしめ、いや、締め上げている。
なので、休み時間になるごとに、俺は生命の危機にさらされているのだ。
たとえ女子に抱きつかれるという、本当ならかなりドキドキなシチュエーションであろうとも、俺にとっては悲しいかなただの苦痛でしかない。
そんな俺にはお構いなしに、変人(かひと)は俺がつい今まで話していた友愛(ともよし)と何やら楽しげに会話を始めている。
もちろん、俺を締め上げたまんまで。
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