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「私のダーリン、浮気とかして無かったかい?」
まだ付き合っても無い俺の事を、変人(かひと)は友愛(ともよし)に質問している。
なんで俺の友達と俺よりも親しげに喋ってんだ!
お前は沢山居る自分の友達とでも喋ってろよ!
しかし今にも肺が押しつぶされそうな俺には、反抗の声すら上げられない。
そして律儀に答える友愛(ともよし)も友愛(ともよし)だ。
「うーん。
そう言えば、この前うちのクラスの超絶美少女と何やら楽しげに会話をしていたような…」
なに火に油になる発言してんだ!!
全然律儀じゃねぇ!
むしろ悪化させてんじゃねぇか!
完全にこの状況を楽しんでやがる。
これじゃあいつが何をしでかすか…。
「なんだって!?
どういう事だ愛しのダーリン!
私というものがありながら!!」
やっぱり、言わんこっちゃない。
それは明らかに誤解だ。
そう言おうにも、更に力のこもった変人(かひと)の腕が、俺の呼吸を完全に止めそうな勢いで絞まる。
俺はもはや白目を剥いて気絶しそうな、三途の川が見えそうな所まで来ていた。
しかし変人(かひと)はただいま絶賛嫉妬による興奮中なので、俺が今どんな状態になっているのかなんて気付けるはずも無い。
「まあまあ変人(へんじん)さん。
とりあえずその良人(よしひと)の身体に回した腕緩めようか?
じゃないと、愛しのダーリンが保健室送りになっちゃうよ?」
さすがに俺の正面に立っていた友愛(ともよし)は俺の顔色の変化に気付いたようで、やんわりとこの馬鹿力女に指摘してくれた。
「えっ…?
わあああぁぁぁ!!!
ごめんよダーリン!
誰だダーリンにこんな事したのは!?」
いや、お前ですけど!?
ていうか、緩めただけでまだ身体に腕回したまんまですけど!?
他にも突っ込むべき所は沢山あるが、今の今まで身体に取り込む事が出来なかった空気を目一杯肺に取り込んだ為、一つも突っ込めずに盛大にむせた。
「ゲホッ!ゲホッ!
ゴホッ…ケホケホ…」
おまけに涙まで出て来た。
そんな俺に哀れみでも感じたのか、友愛(ともよし)が自分でした発言の弁解を始めた。
「そんなに心配する事無いよ変化(へんじん)さん。
だって良人(よしひと)は、名前の通りの人なんだよ?」
そうなのだ。
俺にもクラス内程度の小規模なものだが、性格から付けられたあだ名がある。
それはーー
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