その出会いは突然に

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これは、いつの事だっただろうか。 多分、高校二年生になってから、まだ一ヶ月も経って無いくらいの時の事だ。 その日も俺はいつも通り、長い階段を体力も惜しまず全速力で駆け登り、一人屋上に着いた。 別に後から友達がやって来る訳ではない。 別にぼっちという訳でも無い。 クラスには、仲の良い友達だって、ちゃんと居る。 ただ、何となく一人の時間が欲しいと感じるのだ。 幸いな事に、この学校は六階建てで、わざわざ苦労してここまで登ってこようという生徒も居ない。 なので俺は、お昼の長い休み時間を一人で過ごせるこの場所に、毎日弁当を持って足を運んでいた。 今日も一人でゆっくりとくつろげる、一日の内一番の至福の時間が始まる。 そう思っていた。 あいつが屋上にくるまではーー
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