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 その男の子は傍らのかばんから何か取り出している。犯罪には巻き込まれたくない! 「ちょっと絵、描かせて? そんなに時間は取らせないから」  絵? よく路上で絵を描いたり売ったりしているのと同じようなやつかな? まだ不審顔の私に、スケッチブックを取り出した彼は続けた。 「あっ、ちなみにこっちからモデル依頼したからお金も取らないからねー」  絵を描くだけらならまぁいいか……。タダだし、門限までまだ少しあるし。  待つこと数分。スケッチブックと私と視線を行き来する彼に、私はなんだかドキドキしてしまった。濃いサングラスに阻まれて目は見えないんだけど。というか夜にあんなサングラスでちゃんと見えるのかな? 「できた!」  彼がスケッチブックを掲げた。おお、いったいどんなのができたんだ?
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