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「……この間はごめんなさい。ちゃんと絵のお礼も言ってなくて……。ありがとね」  ルーカスはちょっと照れたように笑ったまま「いーってことよ」と言っていた。  そして私の背中を押して、この間と同じように折りたたみ式の椅子に座らせる。スケッチブックを取り出して、私の絵を描き始めた。 「こないだも思ったけどなんで制服?」 「あぁ、塾帰りなのよ。月水金で駅前の塾に通ってるの」 「えー! そうなの!? その制服って兎谷高でしょ? 頭いいのにすげー」  ルーカスの言葉に私は苦笑した。  確かにうちの高校は県内でも上の方だ。そして私も割かしいい成績を維持している。その上で塾に行っているのだ。私の心の中がまた少しグルグルしだした。  その間もルーカスは鉛筆を動かしていた。 「ねぇ名前なんて言うの?」 「本庄真由。ルーカスって本名じゃないよね?」
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