「彼女の11歳の夏」

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・・・おやつのケーキもいっしょに食べた。 僕はカボチャのケーキに紅茶、彼女はガトーショコラにシュガー入りでクリーム入りのコーヒーだった。 彼女はここでは、 庭のブランコに揺られているか、花壇のコスモスの花を眺めているか地を這う蟻や、木にとまりに来た鳥たちに話しかけているか・・・  ガレージ前では、背の高い運転手を見ているか、運転手が頻繁に手入れをしている車(送り迎えで乗る黒塗りの大きな車)を見ているか、二人しか乗れないエンジンの音がうるさい屋根のない赤い車を見ているかで・・・。 ティータイムも終わり、勉強会も終わると、なぜかみんなで缶けりをすることになった。 グループの大切な僕の友達たちを彼女は瞬時に虜にしてしまうことになった。 庭に出た彼女は白いワンピースをはためかせ走りまわっていた。何気にみんなは視線を注いでいるのが感じ取れた。 注目の的だった。 僕は不機嫌になる・・・僕だけの彼女でいてほしい。僕は少し嫉妬?していたのか。 そう。たぶん・・・嫉妬だ。
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