「彼女とブランコ」

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それからは彼女だけが頻繁に来るようになった。シゲさんやミユキちゃんはトク爺を通さず直接僕に来訪を伝えることもしばしばだった。 いつも一回鳴らして一呼吸、続いて一回鳴らして待つ、トク爺かシゲさんたちが気がついて確認して門扉の横の勝手口を開ける寸前に、さらにもう一回鳴らして入ってくるのが彼女流のベルの鳴らしかただった。 僕が玄関を開けるころには、彼女はすでに庭のブランコに揺られているときもあった。 僕は木のほうに歩きだす。 僕はなぜ彼女と隣り合わせでブランコに乗っているんだろう。会話もないのに彼女にとって僕は必要なんだろうか?それとも僕が彼女を必要としているんだろうか。 僕には不思議な感覚だった。
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