かあさんの唄

洗い物を終えたアタシは、エプロンをほどいて、ダンナがいる居間へ行きました。

ダンナは、テーブルの上に置かれている食事を食べずに、だまって新聞を読み続けていたので、アタシはダンナにごはんを食べてよと言いました。

「あなた、まだごはんを食べていないわよ…そろそろ新聞を読むのをやめて、ごはんを食べてよ。」

アタシがこう言うたら、ダンナは、読みかけの新聞をバサッとテーブルにたたきつけていた。

そして、イスから立ち上がったあと、ソファーの上に置かれている背広のジャケットと黒の牛革の手提げかばんを持って、玄関へ向かおうとしていた。

アタシは、朝ごはんを食べずに行くダンナを止めたけど、ダンナは『急ぐのだよ!!』とアタシに怒鳴りつけたので、アタシとダンナはケンカになってしまった。