第3話

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2  紫ノ上島 埠頭東側 午後8時32分  テレビカメラは二方向から。  朝陽は眩しく海はおだやか。  小さな島の唯一の埠頭。その東側、倉庫のある一角。  そして海辺側に黒装束で武装する一団。その一団に囚われた拘束され目隠し口枷防音ヘッドホンされた少女。  一方反対の住宅地側には、一人の少女と青年。その後ろに縛られた男が二人。 「お待ちしておりました。サクラ様、ナカムラ捜査官」  黒装束の一団の中心にいる悪魔の仮面を付けた男、サタンが仰々しく会釈してみせる。 「案外素直に出てくるジャン。サタン」  ニヤッと不敵な笑みを浮かべるサクラ。  そう、ついに仇敵ともいえる今回のゲームの直接対面が現実となったのだ。  拓は左手で器用に左懐中のホルスターに納められたコルト45を抜き言った。 「手短に手順を説明する。まず、お互い監視役の一人を除き全員今この場で武装を解除。武器は自分たちの背後にある木箱の上に置き5m前進。お互いの武器放棄が確認できたら、残った一人も銃を置き、前進…… 交換の開始だ」  サタンは頷いた。  まずサクラが手に持ったイングラムM10を木箱に。そして拓の右手にあるイングラムM10も木箱に運んだ。同じタイミングでサタン以外の<死神>たちは波止場の積み重ねられているボロボロの木箱の上にSMGを置き、木箱の横に拳銃を置いていく。 「涼ちゃんの目隠し口枷を外せ、もう必要ないだろ」 サタンは頷き、優しく涼の拘束を解いた。突然音と光が復活した涼は周りを見回し、只ならぬ状況に悲鳴を上げかけたが視界に拓とサクラが見え、悲鳴を飲み込む。 「拓さんっ! サクラちゃんっ!!」  思わず叫んで走り出そうとする涼をサタンが肩を握り引き止める。涼にはまだ絶望の淵から脱したワケではない。 「大丈夫。すぐに助け出すから。今は落ち着いて行動するんだ」 拓のいつも変らぬ冷静で優しい声に、涼はなんとかパニックを起しそうな心を静め、両目に涙が溢れてくるのを必死に堪えた。 「涼ちゃん。今からいう事をよく聞いてくれ」 「……はい!」 「キミの後ろにいるのがサタンだ。そしてその後ろに<死神>たちが3人いる。<死神>たちが体に武器を隠していないか、ボディーチェックして確認してくれ。できるかい? 大丈夫、<死神>たちはキミに何もしない」
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