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紫条家敷地内 東側入り口近くの森の中…… 片山は一人デジタルビデオカメラのズーム機能で状況を観察していた。右手にはM16A1、左手には彼の仕事道具の盗聴装置が握られている。
「捜査官も結構悪い人だ」
拓とサクラは馬鹿正直にサタンと取引するほど馬鹿正直ではない。状況によって攻勢に出る気でいた。片山の監視はサタンや<死神>の動向のほか、狂人鬼たちの動きも見張っている。そして盗聴器は片山が持ち、その呟きは盗聴器を通してサクラの長髪に巧妙に隠されたインカムによって?がっている。拓たちからの声は聞こえないが片山からの言葉はサクラの耳に入る。サクラと拓はテレパシーで会話が順応した今は可能だ。
「今のところは順調だぜ、サクラ君。疑っている様子もない」
片山は一笑した。それは勝利の笑みだった。
涼とサクラが、ゆっくりと進んでいく。
サクラは携帯電話のセットを置き、一歩下がり、涼が携帯電話を取った。後はこれを流す……それだけだ。だがここでサタンが突然涼の行動を制した。
「その前に。サクラ様、その携帯電話を流す前に確認があります」
「え?」
「その携帯電話は元々貴方のモノなのですか? それとも誰かの携帯を見つけたものか、お教え願えますか」
「どっちでもいいじゃん」
平然と答えるサクラ。だが心中小さなざわめきが起きた。予想はしていたが、やはりその確認をしてくるか…… これからの一問一答が明暗を分ける。
「これは重要な事です。この点について貴方は答えていなかったと思いますが? 貴方はゲームスタート時携帯電話は持っていないとスタッフに言いましたが携帯電話の使い方は知っていた。しかも国際電話です。とても携帯電話を持っていない人間とは思えません。そして先の会話では携帯電話は貴方自身のものだと言いました。そこにあるのが貴方の携帯であるかどうか。これは非常に重要です」
「認める。これはあたしの携帯電話よ」
「では」そういうとサタンはポケットから携帯電話を取り出す。
「サクラ様の携帯電話番号をお教え下さい。今、この場でコールします。音なり振動なりすればその中に間違いなく貴方の携帯が入っている。だが、もしなら鳴らなければ貴方は嘘をついていることになる。当然、可能性として貴方自身が口にしていた通り、フェリー組の携帯も持っていて二台隠し持っている可能性もあるでしょう」
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