第3話

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「…………」 「そこで私の手はこれです。この携帯電話、見覚えがありませんか?」 そういうとサタンは手にある携帯電話をサクラたちに見せる。サクラと拓には見覚えのある携帯電話だった。 「俺の!?」 「その通りです。捜査官、この携帯電話はかなり特殊で見たことないモデルですね。サクラ様と同じでしょう。貴方の携帯電話の履歴にはサクラ様の携帯番号が入っているでしょう? 操作方法を教えて下さい。それでサクラさまにコールします」  拓の携帯電話もサクラ同様JOLJU特製のオリジナルだ。普通の人間は使えない。電源を落としてしまえば再起動は拓とJOLJU以外できない。それはサクラも同じだ。 「成る程。では捜査官、サクラ様の携帯電話番号を記憶されてはいませんか? 御関係と捜査官の知力を考えれば記憶されていると思いますが?」  ……やはりそのくらいの手は考えていたか……   サタンはよく観察している。彼が言うとおり、これまでのサクラの言動、拓とサクラの口喧嘩を聞いていれば、二人の親密さは分かる。サタン・ルシファーは間違いなく頭の回転が早く洞察力に優れ強い意志を持つ一流の人間だ。  拓は一瞬考える素振りをみせた後、携帯番号を口にした。サタンは拓の携帯電話を懐に戻し別の携帯電話でかける。すると涼が握る袋の中の携帯電話が小さな音を鳴らした。  ……これで問題ない……   そう思ったのは涼だけだった。サタンは首を傾げる。 「鳴りましたね」 「当然じゃん」  答えるサクラ。だが両者は悟っていた。 「貴方たちの携帯は米国仕様でしょう? しかし今捜査官が口にした携帯電話番号は<080>……日本の携帯電話番号ですが? 成る程、貴方がニューヨークにかけた国際電話の番号もこの番号と同一。しかしサクラ様は元々携帯電話をお持ちであった。持っていますよね、もう一台を」  サクラと拓が小さく舌打ちした。やはりその点にサタンが気付いたか……  ここで「それは日本用」と答えるのは簡単だ。だがそういえばサタンは防水の梱包を外すし中のデーターを確認するだろう。そうすればすぐにバレる。  確かにサクラのこれまでの言動で<サクラが初めから携帯電話を隠し持っていた>と証言してしまった。そこでサクラはあえてこの島で手に入れた携帯を使ったりサタンの質問に対してこの携帯電話番号を記憶したがそれでもサタンは騙せなかった。
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