第3話

9/38
前へ
/38ページ
次へ
丁度速見が携帯電話を海に投げ入れた直後……  突然、海上に爆発が起こり轟音と爆風、水柱が襲う。 「!?」  爆発したのは携帯電話か!? サタンたちが一斉に注意を海のほうに向けたその瞬間、サクラは素早く四次元ポケットから拳くらいの大きさのものを取り出すと、力いっぱいサタンたちのいる方向に投げた。そしてそれはすぐに空中で爆発し、凄まじい量の白い煙を噴出した。 発煙弾…… それも軍事用の超小型発煙弾だ。 「発煙弾だと!?」  振り返ったサタンは思わず叫んだ。もう振り返ったときには辺り一面白い煙に包まれ全く視界が利かなくなっている。そう、サクラたちの本当の狙いはこの状況を作り出し、そして……  ダンッ! 銃弾が容赦なくサタンの体に撃ち込まれた。防弾チョッキを着ているから致命的ダメージは受けないがそれでも衝撃は内臓まで響く。一発ではない、続けて放たれた銃撃によって<死神>たちも狙撃されていく。撃ち返そうにもサタンも<死神>も全ての銃を置いていて手元にない。 この機会に敵を全滅させる…… これこそが拓とサクラの真の目的だった。そのために何重にも張り巡らされた智謀の罠。  どれほど煙で視界が悪くてもサクラには見えている。サクラの手には佐山が持ち込んでいたS&W M459が握られていた。そして拓の手にも……いつの間にどこから取り出したのか、サクラが煉獄で手に入れたグロツク19を掴んでいた。どちらも多弾数オートだ。サタンや<死神>たちの位置はしっかり記憶している。二人は撃ちながら、サクラは右倉庫近くにあるドラム缶の影に入り、拓は凡その検討で乱射しながら涼の手を引き自分たちの銃が置いてある木箱まで移動するとガバメントとイングラムM10を掴んだ。 「馬鹿な。どういう事だ!? <死神>! 銃を取って応戦!」  サタンは身をかがめながら銃を拾いに駆ける。だが命じたにも関わらず<死神>たちは沈黙したまま何も反応しない。喋られないのは仮面のせいだが何故応戦しない!? おかしい……だがその謎はすぐに解けた。 電灯の下に積み重なった木箱は3段、計6つ積み上がっていたのだが、一番上の段が無くなっているのだ。むろん、その上に置いたSMGとショットガン、そして一部の拳銃ごと無くなった。  ……何故だ!? すぐ後ろは海、爆風で倒れたのか!?
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加