葉桜の頃

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「何よ! 振ったくせにもっと何かあるの!」 「…………」 「なんとか言ったら! 人のこと振ったくせに!」 あたしは涙ぐんで噛みついていた。 やっとツカサが絞り出した声は少しかすれていた。 「オヤジが倒れたんだ。 幸い軽い脳梗塞で命には別状はないんだけど。 1週間で退院したし! でもやっぱり4年間も大学の金は……。 だから、オヤジの紹介で大阪の果物問屋に2・3年勉強して来たいんだ! だから……」 あたしは驚きのあまり口にやった両手が少し震えてたけど、気になってオウム返しに聞いた。 「だから?」 「少し待って欲しいんだ。 俺が修行して帰ってくるまで。 そして、出来たら俺と一緒になって欲しい。 やっぱり俺はお前がいないとダメみたいだ!」 途中からあたしの視界は涙で溢れていた。 あたしの心から、マイのこともマサキくんのことも消えていた。 マイが貰い泣きをしていたとマサキくんに聞いたのは少し後の事だった。 コンビニで抱き寄せる二人と抱き合う二人を葉桜を含んだ風が祝福するように舞った。 ―Fin―
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