第11話

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移植の日はあいにくの雨模様でした。 このところ日中は暖かかった日が続いていましたが、降り続く雨のせいか気温も下がっているようでした。 傘をさし、転ばないように歩きます。 一般の外来診察はまだ始まっていない時間です。 移植のための予約診療だけが早朝に行われています。 広すぎるほどの待合室は半分ほど電気が消えていました。 窓から見える街並みは黒い雨雲のせいでまだ街灯がいくつか灯っていました。 名前を呼ばれ診察室に入ります。 2個のうち、1個が育っています。 医師はそう言いました。 半分合格-。 頭に浮かんだ言葉でした。
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