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2.
「はぁー……」
重い溜め息をつきながら、ポップ系の少年、"殿谷鹿之助"(とのやしかのすけ)はまだ人だかりが多い購買から急いで離れる。
「あはは、お疲れ」
少し離れた所で、右目に眼帯をした青髪の少年、"赤嶺駆"(あかみねかける)は立っていた。
鹿之助「あぁ、待っていてくれてサンキューな。今日はいつも以上に混んでいたからな」
駆「ううん、別にいいよ」
そう言いながら駆は鹿之助に向け笑みを作る。
鹿之助「よし、じゃあ行こうか。千絵達が待っている」
鹿之助も笑みを作り、二人は購買を後にする。
二人が向かうのは杏梨や千絵、そしてゆか達がいる校舎の外。
つまりテラスなどがあるこの学校の中庭である。暖かくなってきたから外で食べたいという杏梨の要望で、外で昼食を摂る事になった。
幸い、この学校『欧美学園』(おうみがくえん)は都内にしては珍しく、土の校庭を持つ学校だ。
花壇など、芝生など、いろいろなものを植えている。
外で食べるには最適な場所が、この学校には複数と備わっている。だから外で昼食を摂る生徒は少なくはない。
鹿之助達は廊下の角を曲がろうとした直後だった。
ドカッ!と駆は誰かとぶつかる。
「おっと、ごめんっしょっ」
駆「あ、いえこちらこそ。すみません」
そう言い駆はぶつかった相手に頭を下げる。相手は結構な大柄な体格をしており、じゃらじゃらとした見るからに不良っぽい少年だった。
不良っぽい少年は手を振り、
「俺もよそみしてたっしょ。わりぃな、不注意だ」
そう言いながら不良っぽい少年は片手にあんぱんを大口でかぶりつきながらヒラヒラと手を振り、ゆっくりと立ち去る。
鹿之助「大丈夫か?」
駆「あっ、うっうん!」
鹿之助「あの人……確か、二年の……名前何だっけか?って、そんな事より時間がっ!」
駆「あっ、そうだね!」
少し早歩きで、二人はテラスへと向かう。
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