第一章~遊びの約束~

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3. 『コード・エリア』には、山岳地帯などが存在する。 草原など、いろいろな季節の花や木などが植え付けられている。 春なら桜一色。 夏ならこの草原一帯にひまわりが咲く。 秋はこの山岳地帯一帯が紅葉に彩られる。 この山岳地帯はハイキングなど、一部の観光スポットとして人気がある。 そして。 八年前に起きた爆発によって巻き込まれた人達の、慰霊碑が建てられた場所でもある。そしてその慰霊碑には、あの大事件の犠牲者となった人達の名前が刻まれている。 赤嶺駆の母親、そして椎名杏梨の両親。他にも多数。 あの事件で、あまりにも多くの人達が亡くなった。 もうこのような犠牲を出さない為、『祈り』と『願い』を込め、この慰霊碑が建てられた。 そしてその慰霊碑の前に、一人の少年、"龍馬"(りゅうま)は立っていた。 白と黒を基調としたパーカーを着ている少年は、刻まれている自分の両親に目を向け、俯く様に立っていた。 そう、この少年には昔の記憶がない。 記憶喪失である。 何故記憶が失ったのか、それすらも覚えていない。自分の体が、何故幼児化になったのかも、全部である。 龍馬(ここに来んのも……、二回目か) 以前来た時は、杏梨とその友達と一緒だった。墓参りである。 龍馬がこの街に来て、妹と再開したその日にこの場所に来た。 五月一○日。 『アンノウン・バースト』が起きたとされるその日に、龍馬は杏梨の元へ帰ってきた。 一緒に同伴し、一緒にお参りをした。 次に少年は、慰霊碑の後にある、複数とずらーと広く並んだ小さな墓石のある所へと向かう。 少し歩いた所に、両親の墓はある。 遺体は二人共、まだ見つかってはいないとは杏梨からは聞いている。 大きな爆発に巻き込まれたのだ。 遺体が見つからないまま、墓が作られる事は少なくはないようだ。 龍馬は、両親の名前が刻み込まれている小さな墓石の前で立ち止まり、お参りを始める。 数秒経った後、お参りを止め買ってきた花を積む。
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