ぼーっとしてて、いいんです

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面談後、担当医は言った。 「間違いないですね。双極性障害です。Wさん(先輩)が、ご主人は才能のある作家だっておっしゃってましたよ」 「はぁ……Wさんはとてもいい方なので、そう言ってくれるんです」 「双極性障害の患者さんの中には芸術分野で才能を発揮している人も多いんですよ。ゴッホとかヘミングウェイとか」 「はぁ、そうですかぁ……で、結局のところ、いつまで拘束は続くんですか?」 「薬を飲んだふりして便器に捨てていたんです」 「は?」 「ちゃんと飲んでくれないと治療ができませんから」 「すみません。でも、何でそんなことを?」
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