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一瞬、幻聴かと思ったが、何度もよびかけているので、私は声のした方向に進む。
怖いが、ここにいるよりはマシだと思い、私は一歩、一歩と歩々を進める。
来た所は、何もない荒地だった。
ビルが倒壊した瓦礫の数々は周辺に転がっているが、さっきの場所よりかは安全地帯だった。
しかし、誰もいなかった。確かに少年の声のした方向はここで合っている。
その時、また遠くから爆音が鳴り響く。
私はふいにその方向を振り向く。振り向くとその方向の一帯は、何もかもが炎に包まれていた。
その光景は、まさに地獄絵図と言ってもいい。
そしてその一帯からは結構離れているというのに、熱気がここからでも伝わってきていた。
とても近づけるような場所ではなかった。
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