恋を知らないの

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公園の中の中心部の小さなジャングルジム。 その前で、どこかを見つめながらずぶ濡れ状態の生徒会長。 雨が彼の体や髪の毛や衣服を容赦なく、水玉模様に変えていく。 けどあたしが動けなかったのは、それが理由ではなかったんだ。 彼の“その瞳” ……。 もしかして泣いてるの? 雨粒と一緒に、瞳から流れてるのは確かに涙だった。 それからどれぐらいの時間が過ぎただろう。 どれぐらい金縛りに合ってただろう。 ……先にその呪縛から解けたのは生徒会長の方だったんだ。 我に返ったように振り返るその目線の先には、当然あたしの姿があった。 「――お前、」 全身を突き刺すように睨んでくるその目線に、足が竦んだ。
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