第1話 黒軍

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降り続く雨に僕はいい加減うんざりしていた。 確かに、雨というのは僕がいるこの街は、他の街などに比べれば多少の洪水量が多いとはいえ、流石に一週間となると話は別だ。 それに、雨と言っても激しく降るのではなく、シトシトと降ったりそうでなかったりと見分けのつかない少し鬱陶しい降り方なのだ。 「...雨..飽きた..」 カーテンを閉め、僕は黒いジャケットを身にまとい、自室を後にした。 長い廊下。 所々に付いている、小さなロウソクに火がともっている。 こんな長い廊下ならば、電気に変えたりと少し便利なことでもしたらどうだろうと、僕は毎回この廊下を通る度に思う。 多分それは、もう何年間も変わらずに。 この廊下は、僕が今暮らしている寮のもの。見た目も中身も綺麗だし、ロウソクの明かりを除けば、暮らしやすいし、不自由しないところだ。 寮生は、僕を除いてあと7人いる。 ここは、黒軍(クログン)のメンバーの寮であり、僕らの拠点となるところである。 僕は、黒軍のソウヤ。15歳で入団、現在は17歳で早2年目となっている。 .
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