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「で、どうしてこんなになっちゃったの?」
軍に着いて早々、僕は慌ただしい状況へと。
結局あの黒い物体は、ユズの影魔法だったらしく、あの強い風はまぁ言うまでもなくロンが起こしたものだった。
いくら通信手段がないからって、こんな荒々しい呼び方があるだろうか。
「招集の仕方は謝るヨ
それより、今はサクヒを!!」
必死に懇願してくるロンを見て僕はいつも思う。
ここまで必死になるのは、サクヒが絡んだりすることがほとんど。
正直ロンの本気を見たことのない僕は、何に必死になるかとかいつ必死になるかとかは良く分からない。
けれども、毎回サクヒ絡みになるとありえないくらいの必死さ。
確かにふたりは付き合いが一番長いというが、どういう関係なのか未だにきになるまま。
「うわ....これ、何本骨折れてるの?
しかも、傷深すぎ....二人で一緒にいたのに何してたの?」
よくこんな怪我で生きてられたと心から思うほどだった。
能力でも相当手こずりそうなほど、複雑に折れ曲がった右腕なんて、ドコをどうやったらこうなるのか逆に聞きたいくらい。
複数折れてる肋骨だって、相当のダメージがかからない限り折れないと思うし、内蔵の一つや二つやられててもおかしくない。
それに、この左肩は異常だと思う。
刀や槍などでは到底負わせることのできないほどの傷の深さ。
人間がやれるのかと思うくらいの深さ、相当恨まれたり至近距離、力の強い人間じゃなきゃ追わせられないと僕は見て思った。
「いくら、僕が優れてる治癒能力者でもここまでの傷じゃ僕だけの力じゃ治せないよ」
「ドウイウコト?」
「だから、サクヒがどれだけ持っていられるかの話だよ」
多少の傷などは、僕が配慮して体力温存などということができるが、今回のようにサクヒの傷だと治癒しながら体力の温存などの配慮は、今の僕の能力ではできない。
治癒能力は、治す代わりにその傷の痛みを肩代わりする意味でもある。
でも、仮にこういう時肩代わりができないときは、本人がとにかく痛みに耐えるしかなす術はないのだ。
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