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7月。 気温が上がり、夏が始まる月だ。 蝉の鳴き声がこだまし風流さと鬱陶しさを感じさせる。ここは巫冥学園ーふみょうがくえんー。特に特別でもない一般の高校だ。グラウンドを走る生徒の声が聞こえる。朝練だろう。そんな学園の校門に一人の少年が立っていた。真新しい制服が陽光に照らされている。 「ここが巫冥学園・・・。確かに不思議な所ですね。」 一人納得して彼は校内に入る。今の口ぶりからこの学園の生徒では無いことが伺えるが。ここで彼の容姿を描写すると 髪はショートで色は黒。左の目に白い布の眼帯を着けている。顔立ちは中性的で身長も150前後位だ。彼と表現した通り男だが見る人が見れば少女にも見える。 「えっと、理事長室は?」 手に持ったパンフレットを見ながら彼は校内を歩く。ふと体に衝撃が走った。彼はパンフレットから目を外し前方を見る。何もない。床を見ても上を見ても念の為後ろを見ても何もない。 「・・・。なるほど。」 彼はポケットから一枚の紙を取りだし地面に置いた。 「壊呪の法。」 彼の呟きと共にパキッと何かが割れる音が響いた。 「随分な挨拶で。」 彼は前方に表れた女性に皮肉を放った。女性はそれを気にせず、拍手を贈るだけだ。 「想像以上で安心したぞ。 巫陽 冥ーふよう めいー。 私は一応理事長代理の 三刻 緋美佳ーさんこく ひみかーだ。」 冥「どうも。あの程度の【結界】なら簡単に外せます。」 緋美佳「ふっ。【四方結界】を簡単に・・・か。まぁそれで無くては困るが。」 冥「・・・この学校は不思議な所ですね。妖気も邪気も在るのに神聖な太極の力も同時に感じられるなんて。」 緋美佳「ああ。私達がお前を呼んだ理由はそこにある。頼む力を貸して欲しい。 最近、ここいらで【鬼】が出るようになった。原因を探りこれを処理してほしい。その際にこの学園の生徒にはお前の仕事を漏らさないように頼む。」 冥「了解です。 その為の陰陽師ですから。」 緋美佳「すまない。君は2-Aへの転校生という事になっている。私が担任だから気楽にしてほしい。」 冥「わかりました。では。」 冥は会釈すると控え室に消えた。 緋美佳「世界最後の陰陽師・・・か。 いけ好かないな。」 呟きは蝉の鳴き声に消えた。
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