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昼休み、白川 遥子こと白狐は屋上でパンを食べていた。因みにあげパンだ。自家製らしい。ボロボロと砂糖が零れているが全く気にしてないようだ。 遥子「ん~♪甘いのはいいよね♪ここ、あまり人が来ないから尻尾も出せるし。」 そう今、彼女は一部だけ変化を解いている。白い尾が6本ゆらゆらと揺れていた。頭にはこれまた白い狐のとんがった耳が。 遥子「ハム。ん~♪」 ご機嫌にパンを食んでいると人の視線を感じた。一気に蒼白になる。 「やっぱり!白狐さんでしたか!」 聞き覚えのある少女のような声。遥子にはその声の主がすぐに分かった。転校生の巫陽 冥だ。あの眼帯をつけた少女(に見える)がニコニコと自分を見ている。嫌な汗が止まらなかった。だがふと疑問に思った。彼は今、何と言った? 「やっぱり、白狐さんでしたか!」と言った。白狐の事を知ってるのは勿論自分が白狐だと気づかれていたことに驚いた。 遥子「あんた、何で私の事を?」 疑問を投げかけてみる。彼はニコニコと笑ってひとさし指を自分の唇の近くに持っていきウィンクをしながら言った。 冥「禁則事項です☆」 若干似合っていたのがムカついた。がそこは白狐。それを表に出さずに同じ問いをしてみた。 遥子「くだらない事を言ってないで答えなさい。何で私の事を知ってるの?」 冥「あ、僕が陰陽師だからです。(しれ)」 しれっと言う彼に脱力した。陰陽師ーかつては妖怪を滅し栄えていたがほとんどが力を失い存在すらも危ういと訊く。ならば彼は少なからず力を残しているのかも知れない。なら、自分には脅威ではないと結論づけ、冥を見る。彼は未だにニコニコとしていた。 遥子「何か用?」 冥「いえ、暇なので白川さんを観察しようかと。」 遥子「スッゴい迷惑。」 冥「わかりました。やめて、教室で寝てます。」 割りとあっさりと帰っていった。彼の性格がわからず悶々することになったのは予想外だったが。
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