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放課後、遥子は一人歩いていた。自分の住まう神社に向かう道は人気が無く、かなり寂しい道になっていた。何時もなら気にしていないのだが今回は違った。明らかに自分とは違う気配を感じたのだ。しかも、人間が持つはずのない妖気というおまけ付きで。 遥子「姿を見せなさい。 あんたなんでしょう?最近先生が言っていた【鬼】は。」 遥子が後ろの電柱に話しかける。するとそこから眼鏡をかけたサラリーマン風の男が出てきた。ぱっと見普通の男性だがよく見ればおかしい。角がある。更に言うと犬歯が長い。普通の人間なら犬歯が口を閉じている状態では見えないだろう。 遥子「この【鬼】は・・・ 【心鬼】ね。」 【心鬼】これはしんきと読む。【心鬼】とは人の欲や負の感情に取り憑き取り憑いた人間の生気を餌に成長する鬼だ。鬼の特徴が外面に出ているのはかなり成長した証拠だ。 遥子「同じ妖怪なら私の事は知ってるわよね?力の差がわかっているのに私を襲おうとしたの?」 男いや、【心鬼】は答えない。そもそも【心鬼】は最下級の鬼なので神社に行けば勝手に抜けていくような弱さだ。中級の狐である白狐はどう足掻いても勝てる相手ではない。 遥子「黙りね。いいわ。多少なら私も祓うことは出来るし、今日は何か悶々するから憂さ晴らしさせて貰うわよ。」 遥子は言い終わると青い炎に包まれた。狐一族の【狐火】だ。威力は然程ないが目眩ましや脅しには使える。因みに上級の妖狐になると【狐火】だけで人を殺せる。中級の妖狐ならある程度なら燃やせる位だ。炎が晴れると屋上で見せていた耳と尻尾が出ていた。周りには火の玉になった【狐火】が浮いている。 遥子「喰らいなさい!」 遥子が手をかざすと火の玉は【心鬼】の方へ飛んだ。【心鬼】はそれをかわし瞬時に遥子に肉薄した。 遥子「なっ?!」 ?「しゃあ!」 ドガッ! 遥子の体は壁に叩きつけられた。痛みが走る中、遥子の脳内は急速に回転していた。 遥子(あいつ、ただの【心鬼】じゃないの?【狐火】をかわすなんて。でも、だとしたらあいつは何?一体何なの?) 正体の分からぬ敵に遥子は混乱した。その隙を突かれ遥子は腕を掴まれた。 遥子「しまった!くっ、離しなさい!」 ダメ元で蹴りを入れてみるも全く効いた様子はない。男は口を遥子に近づけ開いた。言い知れぬ恐怖を感じ、遥子は意識を失った。
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