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乗り込んだ東山線は結構混んでいた。
金曜日。
スマホのデジタル表示は20:04を示している。
早めに飲み屋さんに入っていた人々が帰る時間。
車内の空気が何となく淀んでいるような気がする。
けれど、栄から名古屋駅までは二駅。
私は直ぐに解放されて、再び地下街の道を歩く事になる。
クレープ屋さんに、ういろうのお店、ワッフルにお饅頭。
打って変わってこちらは食べ物のお店も多い。
あの頃は不馴れだったこの街も、今は特に何でもない。
彼と付き合う中で歩いたり、就職した事で引っ越しをしたり。
そういった事を経て、私の行動範囲も随分広がった。
目を瞑ってでも歩ける。
そんな彼ほどではないけど、私も庭みたいには歩けるようになった。
すると、不意にパンの香りが漂ってくる。
明日の朝はパンにしようか。
ふと考える。
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