1.夜空とクリコロの彼

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けれど、自宅のトースターの上へと思考を巡らせたなら、ベーカリーは素通りする事に。 食パンがまだ数枚残っていたような気がする。 ――別にパンなんか日持ちするんだし買えば良いじゃん。 彼ならきっとそう言うだろうな。 そして、迷うなら買えば良いよパンくらい。 なんて、財布を出す。 私は迷ってるわけじゃないのだけど、彼は大抵そんな風に勘違いをする。 ――あかりって、そういう所が可愛い。 可愛いと言われて嫌な気分になる女は稀だと思う。 勘違いは勘違いだったけど、私は彼の「可愛い」に何度もくらくらした。 昔から、「しっかりしている」とか「真面目」、「安心する」という評価はもらっていたけど、 「可愛い」なんて彼にしか言われた事がなかった。 でも。
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