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「潤一!…誕生日おめでと!」
「ありがと勇!!」
とうに日が暮れて空は群青色に染まった頃、
自然に囲まれた潤一の別荘の中にたった二人だけが住んでいた。
潤一と勇は、広々としたリビングのソファーに机を挟んで向かい合って座っていた。
今日は潤一の誕生日。
机の上には勇が丹精こめて用意した料理が並べられている。
潤一はそれを美味しそうにどんどん口へ頬張った。
「美味しい?」
「むん! もーふまい!」
「え?何て?」
潤一は口にあったモノを飲み込み、もう一度言った。
「…超美味いよ!」
「そう?良かったー」
二人は談笑しつつ食事をした。
話の内容は主に学校での出来事。
潤一の隣の席に座る友人の弁当の中身が米と梅干しだけで明らかに母の悪意が伝わってくるモノであり、
友人がただただ呆然としていたことや、
勇のクラスに留学生がやって来て、その留学生が慣れないながらも頑張って喋った日本語が残念ながら結構オネェ口調であったこと等々。
そのような話をしているうちに時間はいつの間にか過ぎていて、
皿の上の料理は跡形も無くなっていた。
「…食べるの早いな潤一」
コーンスープをすすりながら勇が言った。
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