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「薔薇の妖精姫シャルディアラ。噂以上に美しい。可憐で清楚で、咲き誇る薔薇そのものだ」
腕組みを解き、男はゆらりと壁から身を離した。
靴音を響かせて、歩み寄ってくる。
一歩男が近づくたびに、冷たい恐怖が姫の胸を締めつけた。
この男は、危険だ。
何をするかわからない。
冴え冴えとした蒼い瞳には、どんな残酷なことも平然とやってのけそうな殺伐とした冷気がみなぎっていた。
(あたしをどうするつもり……!?)
怯え切った表情で、姫は男をみつめた。
男の一挙一動から、視線をそらすことができなかった。
姫の目の前に来ると、男は彼女の顎に指をかけて蒼ざめた美貌をのぞきこんだ。
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