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「おまえは俺のものだ。もう薔薇の妖精王国には還さぬ」
蒼い双の瞳には、狂気を孕んだ熱い執心が揺らめいていた。
冷たい戦慄を覚えて、姫はぞくりと身を震わせた。
ありありと恐怖の色を浮かべた姫の顔を見て、男はくっと笑った。
ひどく残酷な微笑だった。
「いいな、その顔。怯えた顔がたまらぬ。思い切り痛ぶってやりたくなる」
(……っ!!)
姫は、蒼白な顔で身をこわばらせた。
恐怖のあまり、もうもがくこともできない。
口もとにうっすらと微笑を漂わせたまま、男は姫の顎から指を離した。
「そんな顔をするな。冗談だ。だが……」
残忍そうに細めた目で、男はねっとりと姫の可憐な美貌を絡めとった。
「俺を拒むなら、本当にやるかも知れん」
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