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「姉上」
ふと、真剣な表情になって、アンジェラスはシェリィの肩から手を離し、シャルディアラに向き直った。
「なぁに?」
シェリィに対するのと同じぐらい甘い笑顔を、シャルディアラはアンジェラスに向ける。
ふたりの弟たちに、分け隔てのない深い愛情をシャルディアラはそそいでいた。
アンジェラスもシェリィも、どちらも同じぐらい可愛いい。
「昨夜は危うく拐われるところだったとか……あまり無茶はなさらないでください」
あでやかな美貌を翳らせて、アンジェラスはシャルディアラにゆっくり近づいてきた。
少女めいた可憐な美貌という点ではシェリィと共通しているが、醸し出す雰囲気がまるで違う。
いかにも儚気な無垢な空気をその身にまとったシェリィとは異なり、アンジェラスには凛とした強さがみなぎっていた。
それは、鼻っ柱が強く生意気な性格ゆえだったり、経験から身につけた自信だったり、高貴な身分ゆえの高い矜持だったり……そんなことに裏打ちされた、毅然とした雰囲気だった。
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