第2章

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純粋で天真爛漫なその性格は、人からどんな酷い真似をされてもまったく変わることがなかった。 そして、人を疑うことを知らず、誰にでも無邪気になつく彼の性格が、いっそう事態を厄介にしていた。 シェリィは、誰に声をかけられても何の疑いも抱かずについていってしまう。 たとえ、それが以前シェリィに暴力をふるった相手であっても同じことだった。 そんなシェリィが、シャルディアラは不憫でならなかった。 シェリィへの冷遇が加速するにつれて、シャルディアラもアンジェラスもますます彼を可愛いがり、惜しみのない愛情をそそいでいった。 シャルディアラが邪悪な精霊族退治に並みならぬ意欲を燃やしているのは、ひとえにシェリィのためだった。 邪悪な精霊族がこの〈水晶宮界〉から一掃されれば、シェリィに疑惑の目を向ける者はいなくなるのではないか。
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