第2章

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「また後でね、姉上。レイチェルに変な真似されたら大声で人を呼ぶんだよ」 からかうように瞳をきらめかせて、アンジェラスはいたずらっぽくウインクしてみせた。 「アンジェラスさまっ!!私は決してそのような……」 レイチェルは真っ赤になって、うろたえたようにアンジェラスに詰め寄った。 〈水晶宮界〉屈指の剣豪、薔薇の妖精騎士団長も、アンジェラスの前では形無しである。 白い手の甲を優美に口もとに当てて、シャルディアラはクスクス笑った。 「あっ……レイチェル」 アンジェラスに連れられて退出しようとしていたシェリィが、ふと何かに気づいた様子で立ちどまった。 ひどく焦ったように、おたおたとレイチェルをみつめる。 「あっ、あのっ、レイチェル、ごめんね、レイチェルの分のお花摘んでこなかった……ごめんね、ごめんね。ごめんなさい……」
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