第2章

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白亜の扉が閉まった途端、レイチェルが聞えよがしにため息をつき、皮肉っぽい眼差しをシャルディアラの横顔に向けた。 「私にもそれぐらい優しくして頂けると嬉しいんですけどね」 「あら、どこか違って?同じ態度で接してるつもりだけど……」 何も気づかぬふりをして、シャルディアラは澄まして応える。 はぁ~っと、レイチェルが再び盛大にため息をつく。 「本当に、弟君には甘くていらっしゃる。その半分でも私に優しくして頂きたいものですね」 鈴を転がすような美声で笑いながら、シャルディアラはゆっくり窓辺に歩み寄った。 「あら、どうしてあたしがレイチェルに優しくしなきゃならないの?血の繋がりもないのに……」 レイチェルの主従の域を超えた熱い想いに、むろんシャルディアラもとうに気づいていた。 今の言葉は、シェリィに冷たくしたことへ意趣返し……レイチェルのわだかまりを知っていてもなお、彼の態度がシャルディアラは気に入らなかった。
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