第2章

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「2年前、緋竜の精霊王が姫さまにかけた呪い……聖なる種族と姫さまが愛しあえば、相手は死んでしまう。邪悪な精霊族と姫さまが愛しあえば、相手はこの〈水晶宮界〉を統べるほどの魔力を得る」 呻くように言いながら、レイチェルはシャルディアラに歩み寄った。 「この呪いのせいで、姫さまは聖なる種族を愛せなくなった。逆に、邪悪な精霊族は姫さまの愛を得ようと近づいてくる。凄絶な魔力を手に入れるために……!!緋竜の精霊王のいまわしい呪いのせいで姫さまは……」 高まる激情を抑えかねたように、レイチェルが言葉を切って荒い呼吸をくり返した。 今度は、シャルディアラが盛大にため息をつく番だった。 「辛気臭い言い方しないでちょうだい。人を悲劇のヒロインみたいに言わないで。あたしは呪いにかかったことを嘆いたことは1度もなくてよ」
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