380人が本棚に入れています
本棚に追加
あまりにもあっけらかんとシャルディアラが言ったので、レイチェルはその言葉に嘘がないと見抜いたようだった。
深い憂慮に翳っていた顔が、不服そうな表情を浮かべる。
レイチェルに白い横顔を見せたまま、シャルディアラは静かに言葉を継いだ。
「邪悪な精霊族を退治する上ではむしろ好都合だわ。強大な魔気を持つ連中がむこうから近づいてくるんですもの」
無表情だった可憐な美貌に、ひどくしたたかな色が滲む。
嘆かわしい、というように、レイチェルがおおげさに眉をひそめてみせた。
「呪いの力などなくても、姫さまには悪い虫がいくらでも寄ってくると思いますが。姫さまの頭には闘うことしかないんですか?」
「ほかに考えることがあって?」
シャルディアラは、そっけなく言葉を返した。
最初のコメントを投稿しよう!