第2章

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自分の弱さが大事な者の死を招くということを、シャルディアラは2年前のあの日、痛切に思い知らされたのである。 せめて、父亡き後、腑抜けにならなければ、シェリィがあんな目に遭うこともなかった。 さらに言えば、2年前のあの日あの時、自分に聖力が使えれば、緋竜の精霊王に拐われることもなかった。 すべては、自分の弱さが招いたことだ。 「弱さは罪よ。強くなければ大事なものを失ってしまうわ」 強い眼差しでレイチェルを射すくめ、シャルディアラはきっぱりと言った。 それが、高い代償を払ってシャルディアラが得た教訓だった。
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