第2章

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「悪かったわ、からかったりして……」 シャルディアラは、素直に侘びた。 「でも、恋愛に現を抜かしている暇はないの。一刻も早く、邪悪な精霊族を退治しなければ……この〈水晶宮界〉にはびこる邪悪な精霊を、ひとり残らずね」 愛する弟たちのために………… もう、大切なものを失いたくない。 「それは私も同じです」 鋭く表情を引き締め、レイチェルは語調を強めて言った。 「邪悪な精霊族は滅ぼさなければならない敵。〈水晶宮界〉に真の平和が訪れるまで、一命を賭して闘い抜く所存です」 「だったら……」 「ですが、姫さまはもう少しご自分のしあわせを考えるべきかと……」 「あたしのしあわせはシェリィとアンジェラスがしあわせになることよ。何にも脅かされず、心から安心して、ね」 ぱっちりしたアメジストの瞳を挑発的にきらめかせて、シャルディアラは上目遣いにレイチェルを見た。
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