第2章

35/36
前へ
/288ページ
次へ
それを百も承知の上で、シャルディアラはもっとシェリィに優しくしてほしいと思っていた。 そう願うのが酷だとわかっていても、レイチェルがシェリィにぎこちない態度をとるたびに、不服を覚えてしまう。 そして、そんなシャルディアラの気持ちに、レイチェルもまた気づいていた。 シャルディアラの気持ちに応えられなくて、レイチェルは心苦しく思っているのだ。 シェリィに対してレイチェルがひどく複雑で苦渋に満ちた表情を見せるのは、そのためである。 そんなレイチェルの深い苦悩を知っていてもなお、シャルディアラは弟可愛いさに心のどこかでレイチェルを責めていた。 レイチェルがシェリィを疑い、警戒しているのは、シャルディアラをあらゆる外敵から守るため……それをわかっていても、シャルディアラはやはり、レイチェルのシェリィへの冷たさが不満だった。
/288ページ

最初のコメントを投稿しよう!

380人が本棚に入れています
本棚に追加