第3章

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貴公子たちも姫君たちもあわよくば理想の恋人をみつけようと、優雅な笑顔の下に熱い闘争心を燃やして、ダンスやお喋りに興じていた。 しかし、シャルディアラが興味があるのは、どんな邪悪な精霊族が来ているか……その一点のみだった。 いつものことだが、貴公子たちの大半はシャルディアラに視線を奪われ、先を競ってダンスを申し込んだり、会話に誘ったりしている。 それを姫君たちの多くが嫉妬と羨望の眼差しで眺めているのも、いつものことだった。 碧孔雀の精霊族は聖なる種族、そのためか、あまり強い魔気を持つ邪悪な精霊族は来ていない。 他愛のないお喋りに相づちを打ちながら、シャルディアラは相手に気どられぬよう、そっと失望のため息を漏らした。
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