第3章

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他人事のように涼しい顔で聞き流したシャルディアラを見て、カトレアの妖精姫ダイアナはますます柳眉を吊りあげた。 「薔薇の妖精姫は恐ろしい呪いを受けていますのよ。薔薇の妖精姫が聖なる種族と心を通わせると、お相手の方は死んでまうとか……みなさま、ご存知ありませんの?」 新緑色の羽根扇で口もとを隠し、ダイアナは居並ぶ貴公子たちをぐるりと眺め渡した。 「そんなことは百も承知です。それでも僕はシャルディアラ姫の心がほしいのです」 「呪いなど怖くありません。シャルディアラ姫と愛しあって死ねるなら本望です」 「僕の愛の力でシャルディアラ姫の呪いを解いてみせます」 「呪いなどのためにシャルディアラ姫を諦めたりしません。シャルディアラ姫とともに呪いを解く方策を捜す所存です」 貴公子たちは、口々に言った。 ダイアナに向けた眼差しには、非難とシャルディアラへの熱い恋情が交錯して揺らめいていた。
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