Ⅵ ~ライバル参戦~

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 樹はギクリとヒナを窺った。  樹に対する冤罪じみた言葉を聞き咎めたヒナは、怪訝な顔つきで眉を顰めながら類を睨みつける。  ヒナの反応に、樹はホッと胸をなで下ろす。  そして、彼女の隣で、樹は小さく舌打ちを鳴らした。忌々しいセリフを吐いた類は許せないとばかりに、樹の射るような鋭い視線が彼に突き刺さる。 「……コイツ、さっきからムカつく。ガキガキ言いやがって。――――いっそのこと、毒でも盛ってやろうか」  小声で呟く樹の剣呑な雰囲気に、類ははっと息を呑む。  樹は色めいた唇をふっと歪ませた。
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