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「おばさんがいたら、ボクがいなくてもヒナはもう淋しくないね?」
「え?」
ヒナは驚いた顔を向けてくる。樹はふいと視線を逸らせた。
「……ヒナ、一人だと泣くから。昔から淋しがり屋だからね」
熱くなる顔をヒナに見られないよう身体をずらしながら、樹はぽつりと呟く。
「家庭教師も、おばさんが大阪に行ってからでいいよ」
「え、どうして?」
意味が分からないといった表情で、ヒナは目を丸くした。
「だって、おばさんと毎日逢えるわけじゃないんだから、ヒナだって甘えたいだろ?」
淡い微笑を浮かべた樹に、ヒナはきゅうっと痛いような顔をした。
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