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――――え、樹くんの彼女?
瞬間、ヒナの呼吸がヒュッと止まる。
「……杏璃ッ!」
杏璃を睥睨しながら、樹は鋭い恫喝の声を上げた。
「ヒナ、違うから。この性悪女の言葉は全部ウソだから信用するな」
樹はヒナを振り返り、焦ったように弁解の言葉を口にする。
「あっ、いいよいいよ、ちょっとびっくりしただけで……。そうだよね、樹くん……モテるもんね。あ、私、もう行くね、じゃっ!」
じりじりと後ずさりながら、ヒナは逃げるようにその場から全速力で駆け出した。
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