Ⅵ ~ライバル参戦~

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 樹はふっと嗤った。  誰が傷つこうとかまわない。  何を犠牲にしても、自分には欲しいものがあったから。  他に目を向ける余裕などなかった。  ただ指をくわえて、ヒナが他の男に奪われる様を見ているつもりなど毛頭ない。  だから樹は、ヒナが他の誰かに恋をする時間など与えず、誰かが彼女に恋することがあれば事前に潰していたのだ。  ――――今回のように。  それが悪いとは思わない。  樹には、ヒナさえいれば他のものなど必要なかった。  彼女さえ自分を愛してくれれば、他に何も望まない。  餓(かつ)えるほどに、ヒナだけが欲しかったのだ。 「……ホント、病んでるよね」  自嘲に唇を歪めると、樹は学校へ向かうべく足を進めた。
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