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「離してよ、類ちゃんっ! 痛いっ、腕痛いよ! やめてっ」
とうとう校舎脇にあるテラスにまで連れてこられたヒナは、肩で息を吐きながら、涙の混じる目でキッと類を睨み上げた。
「ヒナ、お前、あのエロガキが好きなんか?」
どこか真剣な面持ちで、類はそんなことを言ってきた。
「それ樹くんのこと言ってるの? 失礼だな、類ちゃんは。樹くんはエロガキなんかじゃありません。類ちゃんよりずっと物知りで紳士なんだから」
「……あのエロガキを紳士と判断する、ヒナの脳内変換は絶対おかしい。というか、むしろ俺の言葉の最重要事項ともいえる要点をカッ飛ばしてさらりと流した挙げ句、全く関係のない単語に反応して答えを返すヒナ自体がおかしい」
頭の中がお花畑すぎて見ててイライラする。
ブスッとした顔で類は不遜な言葉を連発する。
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